短時間正社員制度

「短時間正社員」という制度があること、ご存じですか?

先日、弊所顧問先から社員の働き方について相談を受け、その内容が当該制度の条件に合致していたため短時間正社員制度の導入をご提案しました。

短時間正社員とは、その名称のとおり正社員の身分ではありますが、フルタイムの正社員に比べてその所定労働時間が短く、フルタイムの正社員とその業務や責任の程度が同等の社員を言います。また、その他、賃金に関する規定や制度の利用理由など細部の規定があります。

この利用理由の中に”自己啓発を希望する場合”というのがあるのですが、これ結構ざっくりした理由ですよね。自己啓発ってどの程度の範囲なのかよく判りません。

そもそも、この制度は近年推奨されてきた(いる)ワークライフバランスの考え方から始まっています。育児・介護・疾病・傷病などと仕事を上手に両立しながら、人生においてなるべく永く職業人として社会とかかわっていけることを目指すものです。

ここで戻って”自己啓発”ですが、これは言い換えるとキャリアアップを目的とするものです。今や日本もアメリカと同様に雇用の流動化にとっくに入っています。終身雇用はとっくのとうにもう期待できず個々人がキャリアアップの努力を重ね職業人として生き抜く世の中になりました。なので、資格取得や他の職業経験などなどの”自己啓発”が注目されるのでしょう。

アメリカと同様にと書きましたが、つい最近ツイッター社を買収したイーロン・マスク氏が社員たちにどっぷり仕事漬けの長時間労働を要望しているというニュースがありました。一昔前、日本でも”ワーカホリック”(仕事中毒)という今や死語となったワードがありますが、これを連想させるニュースでした。ただ、アメリカと日本の違いは職務型と職能型という違いがありますが・・・ここに触れるとキリがなくなるので、またまた戻って・・・短時間正社員制度を導入した今回の弊所案件についての感想は、

・まだまだ認知されていない ・就業規則の規定例は少なく様々調べながらポイントを外さず自社に合った規定を探っていく必要がある ・自己啓発目的は本当に自己啓発か?

人それぞれ多様な働き方があり、そうした多様性を尊重する社会は理想と思います。その一方、イーロン・マスクの要望を耳にしたとき妙に納得する自分もいました。

果たして、既に聞きなれた言葉になった「働き方改革」とは、実のところ何を目指しているのか、少しわからなくなりました。

本年の記事はこれが最終になります。また、来年もよろしければお付き合いください。

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